JSSマニアックシュリンプ紹介



ここでは比較的新しい品種からマニアックな品種など、話題に挙がることも多いシュリンプたちを一部ご紹介します。
いろいろな角度からシュリンプの可能性にチャレンジしてみましょう。



血統・品種名が意味するもの

「いろいろな名前があってどうも新種系と呼ばれるエビはわかりにくい」と言われるようになって久しい。そのあたりの事情も含めてまとめてみよう。

現在、国内はもちろん世界中で様々なシュリンプが交配・繁殖されている。とくに有名なのが台湾産でシュリンプはもちろんアクアリウム全般の生体養殖が盛んである。ほかにドイツやシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなどアクアリウムに関わる生体のブリーディングが盛んな国は多くあるが、特にシュリンプブリーディングは台湾が群を抜いて高いと言えよう。台湾のシュリンプビジネスは気候、輸送距離、さらに政府からの融資制度を含めて日本市場に向けてのアドバンテージが備わっている。

当然、国内事情と海外事情をどちらも踏まえたうえで市場を読み解く必要はあるが、逆に日本でのシュリンプ需要は世界にも影響するのだ。それゆえ国内のシュリンプ需要は台湾をはじめ世界から注目されている。
過去を振り返ってもドイツや台湾からリリースされた品種が日本で人気を得た結果、世界で需要が高まった例も多い。流行りをプロデュースする力が世界一なのかと考えてしまう。
そして国内発祥のレッドビーシュリンプは純国内生産から現在もそのスタイルは変化していない。
海外からの有名ブリーダーのレッドビーシュリンプを仕入れるケースは皆無に等しいのだ。
ちなみにドイツの友人●―カス氏は非常に完成度の高いレッドビーを繁殖させている。しかし輸入すべきとは思わない。何故なのだろうか・・・。

それでも現在、一般向け、エントリークラスと呼ばれる安価なレッドビーシュリンプは海外で生産されたものが輸入されるケースも増えている。
今後、国内のシュリンプ需要を高く保つためにはどういった点に力を注ぐべきだろうか。

また、外見上おなじに見えるシュリンプたちでも国内外、たくさんの品種名があるが、平たく考えたなら、各地の名物を想像していただくとわかりやすいかもしれない。見た目や味が似ていても材料や製造工程、そして価格も違う。
それでも大まかな区分けは統一すべきで、新しくシュリンプの世界にエントリーされる方たちに理解されやすい環境を整えるために現状整理が急務である。
国内のショップやブリーダーが力を合わせて情報の整理に取り組んだ先に、シュリンプの面白さを取り入れやすい環境が今より整うと信じたい。
ラーメンやギョーザの発祥は中国と考える日本人に対して、旅行に来た中国人たちは日本のラーメンやギョーザを楽しんでいる。日本で食べる必要はないと考える我々に対して質問された中国人は答えた。「違う魅力があり、旨い。」のだそうだ。

あれ、何の話をしていたのか分からなくなってきた。

状況を複雑にしている理由は他にもある。シュリンプの世界では生産者、売り手、買い手が様々にポジションを替えられるところに特徴がある。ライフサイクルが短いシュリンプはそれぞれに1年もあれば売買が成り立つ場合もあり、投資感覚で財を求める向きも否定でききれない。
趣味とは言われつつ、ビジネスライフが表裏する場合もある。高額・希少とされる品種であるほど、その可能性は高く、将来性の保証やライバルとの差別化など優位性を確保するために日々いろいろな戦略が立てられているかもしれない。
台湾を筆頭に新種競争の台頭と日本のレッドビーシュリンプ界の伝統意識が入り組む中でショップやブリーダーに期待される部分は今後ますます増えるだろう。

2017/ Vol.1
今回はブループラネット様より推薦個体をもとに解説を行います。
個体協力、写真提供 BLUE PLANET


★ナナシーシュリンプ
原種であるビーシュリンプとタイガーシュリンプの交配によって現在さまざまな品種が登場し、それぞれ特異性のある表現や独自の交配過程により美しさに磨きをかけてきた。当時シャドーシュリンプが一般化したあとにファンシータイガーシュリンプが登場し、見慣れないゼブラ柄の迫力に多くのファンが繁殖に取り組んだ。ファンシータイガーは色彩のベースがビーシュリンプと同じシュリンプ。その後、ピントシュリンプが登場し、シャドー体色と色を持つピントシュリンプは柄の追及を除いて、ベース色の維持は万人共通であったため、柄を追及する目的で他種との交配も多く試みられた。すでに登場していたファンシータイガーやシャドーシュリンプ、そしてピントシュリンプなどとの交配はここで紹介するナナシーシュリンプの基本形を生み出すきっかけとなった。ナナシーシュリンプが登場した頃には、国内、海外でも外見が同じタイプのシュリンプがたびたび出現していた。当時それらは国産ピント、フェイクピント、台湾ピントなどと呼ばれ、ナナシーシュリンプと命名することによってその表現をもつシュリンプに専念して追及し、ブランド化を推進したブリーダーにより一つのスタンダードとなった。形質を要約するとナナシーシュリンプはピントシュリンプにもつことのできない特徴も含めて、1、シャドー体色であること。2、腰から尾びれ付近にタイガーシュリンプ由来のストライプがあること。3、頭部目先に白が乗ること。などが基準となった。タイガーシュリンプ由来のバンドが表現され、シャドー体色を持つとなると、体全体にそれ以上の表現、つまり白の模様をまとうことは遺伝的に難しくなり、さらなる派手さを手に入れるには多くの時間を要した。現在ではその派生形である派手な表現のナナシーシュリンプも登場し、ボディに乗るストライプの本数や頭胸部に入るマーブル調の白地が多い個体にストリームと呼ばれる表現が用いられる。さらに希少性の高いレッド個体であってもそれらの派手な模様を持つ個体も少数ながら出現している。
また、多重劣性により引き出されるパープル色は個体のコンディションや水質によっても多少は影響を受けるが、世代を重ねるにつれ次第に出現率の向上とその形質を高めている。


(写真:ナナシーシュリンプストリーム)
太く複数入るゼブラストライプはモスラ的にまで見えるがその難易度は高い。頭部の絶妙なマーブルパターンはかなりの迫力だ。白地がブルー調となっており重厚感がある。


(写真:左・ナナシーシュリンプレッドストリーム、
 右・ナナシーシュリンプレッドダイアモンドダスト)
レッド系は全体数が少ないうえに派手なサイケデリック模様を表現する個体となると一層出会う機会が少なくなる。下顎部のスポットおよび頬部の細かなスターダスト表現が複雑な遺伝子を感じさせる。


(写真:左から・ナナシーシュリンプパープル、レッドパープル、ブルーストリーム)
劣性表現が繰り返されることにより、背後に含まれている表現が表に出る場合もある。パープル系とよばれるマジョーラ的な表現はいくつかの要素が合致したときに出現すると考えられる。さらに濃く青みが乗るブルーストロングタイプまで可能性は無限大だ。



★ギャラクシークラウドシュリンプ
シャドーシュリンプやピントシュリンプ、たとえビーシュリンプであってもそれぞれの個性的な表現はどこから始まり、どのような過程で生まれてきたのだろうか・・・
いい意味でミステリーなところもまたシュリンプの魅力なのであるが、日本を起点とするクラウド系シュリンプはここにきてさらなる表現を得ているように感じる。
同じ血統のみで交配を続けるスタイルと他血統を交配させるスタイルの大きく2つの方向性があり、それぞれのスタイルのファンに支えられて今日に至る。
数年前のシュリンプ誌を振り返ってみると、フラッグシップ個体の表現は一気に進歩したように感じる。レッドビーファンからすれば不安定に映る個体差も新種系に取り組むファンにとっては醍醐味になる。ローグレードとされる個体からもアッと驚く個体が出現する事例も年々増加傾向にあるのは、ハイブリット血統の恩恵のよるものと考える。


宇宙・星空をイメージさせるギャラクシーという品種名から想像するとおり、大小無数のホワイトスポットが見るものを魅了する。成長するたびに表現が劇的に変化する個体も多く、選別やグレードの選定時期に悩むのも飼育者冥利といえるだろう。



★レッドミルキーウェイ クラウドシュリンプ / レッドアルトキューモラス ヴァティクルライン クラウドシュリンプ

クラウドシュリンプがもつ特徴の一つとして縦ラインの存在がある。原種から引き継いだ可能性が高い縦ラインの遺伝子は尾鰭と側部にある白と若干異なる色素を持ち、乳白色もしくはゴールドと区分けすることができるだろう。縦ラインの固定や補強については性染色体上にウエイトがあるものと考えており、ペアの選定や選別の基準がほかの形質に比べて難しい。また縦ラインとギャラクシー模様の両立も難易度の高い作業であり、艶のないビーシュリンプ体色個体、いわゆるヘテロ個体との補助交配も表現を複雑にする際は有効な作業と考えられる。目的地に到着するまでの道のりとして、陸路を行くのか海路を行くのか審議を求められるところだろう。
さらにレッド系+縦ライン+ギャラクシー模様の場合、人目に理想とされる表現はそれぞれ打ち消しあう傾向にあるので、出現率は極端に低く、黒系の個体のイメージを赤系にあてはめては、少々酷な状況となる。縦ライン系の遺伝子を含む品種および血統にはオス個体および赤系に対してよいしょしてグレードを見る必要があるだろう。


(写真左)レッドミルキーウェイ クラウドシュリンプ
まだまだ若い個体であるが、赤系+縦ラインの品種として将来有望な要素が見える。
基本的にシャドー色品種では足の色は成長と共に増してゆく傾向があり、クリア感の強い個体が派手に化ける場合も多い。
(写真右)レッドアルトキューモラス ヴァティクルライン クラウドシュリンプ
縦ラインを強く表現し、そのほかの部分に一切白地が入らない希少な個体である。逆にホワイトスポットが一切入らないのも難易度が高い。



★マークIIシュリンプ
ナナシーシュリンプの美しさを別方向に追及した血統で、ゼブラ模様やスポットを全身に表現して派手さを求めた品種である。実物をみるとコントラストが鮮明で、トップクオリティの個体たちは大変迫力のある表現をしているが、写真では控えめに見える場合が多い。実際、角度によってもスポットの映り方に違いもあり、所有して観賞すると写真を眺めるだけとは違いのある品種といえるだろう。グレードにもよるが総じて金額が張る種類であるため個体ごとの価格の違いや意識の違いがあり、縦ラインが頭部のみでなく尾鰭まで伸びている個体、縦ラインが極力太いことを優先する個体、頭部のスポットができるだけ派手な個体、ボディに細かなスポットがたくさん入る個体、白部の青みが強い個体など、個体を選択する際にポイントとなる部分が多くあり、優先順序を決めてかからないと金額的折り合いも付きにくいといえるだろう。
それでも最近は平均レベルが価格対比で良くなっており、同じくとれる子供のグレードも比例して安定してきた。流通初期よりもトップグレードが出現する確率が上がっているのも、これからマークIIシュリンプおよびギャラクシー系のシュリンプを楽しもうと考えている方に追い風となるだろう。
現在これらのシュリンプにすでに取り組んでおられる方でなかなか思うような個体が得られない場合にも一部入れ替えをするなどで混血を意図的に行うことも提案したい。
シャドーシュリンプは当初モスラ柄が出現しなかったのに対して、現在はたくさんのモスラ柄が出現しているケースに近くなっていると考えて頂きたい。



(写真:すべてマークIIシュリンプ ハイグレード)
それぞれ、縦ラインの太く乗った個体、胴部のストライプが多い個体、全身に細かくスポットが入る個体など、成長と共に変化する表現を予測できるようになればなおさら面白い。


(写真:マークIIシュリンプ パープル)
艶のある体色の品種ではしばしばパープル表現を見かける。タイガーシュリンプの錆色的な要素と考えられており、固定に関しては分離の法則とは違う重複要素が必要と考える。
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